2つの封筒問題を解析してみたヨ
「2つの封筒問題」というひっかけ問題について、ネット上でいろんな解説があってソートー面白いネ。マトを得ているものもあれば、勘違いしてるもの、中には間違いを堂々と正解として出してる例もある。今でもすっきりとした解説があるとかないとか・・・。
基本的には、いらない情報に惑わされて、基準を変えて考えているうちに、最初の設定からずれまくるというパターン。問題の解釈から書き換えてしまうあたり、相対論のトリックとそっくり。
何が勘違いの原因で、何がパラドクスと感じる原因なのか、すっきりさせてくれる解説が無いようなので、独断と偏見で解析してみたヨ。
その結果、
point
「2つの封筒のパラドクス」は、確率計算の勘違いで、
基準と問題の設定を書き変えてしまうために混乱している。
ということがわかった。
とは言うものの、ネットでこれと同じ主張が見つからなかったので、間違ってる可能性も・・・。もしかして本当に未解決だったのかナ? よーく考えてネ。
2つの封筒問題(基本形)
中が見えない2つの封筒にお金が入ってる。金額の割合は1対2。
中が見えない状態で、選んだ封筒の中のお金をもらうことができる。
封筒を選んた後で、残った封筒を交換するか聞かれる。
問 さて、より得するには、封筒を交換するべき?
- 金額を仮定した解法で問題発生!
2つの封筒問題の基本形では、「わからない」が正しい解答。この後、提示される誤った解法に従い、設定を変えるのがパラドクスの解決と思われている。実は、これがパラドクスの始まり。
- 「2つの封筒問題」の盲点を確認しておこう
設定を変えてパラドクスを回避する前に、まず、問題がどのように処理されているかを認識して、勘違いをしていないか確認しておこう。
2つの封筒のパラドクスの結論だヨ(次のベージ)
金額を仮定した解法で問題発生!
中身の見えない封筒を前に、どっちの封筒を選んだら得するか?というのが「2つの封筒問題」の基本。はじめに選んだ封筒と残りの封筒の関係は、1/2の確率でしか決まらない。手にしている金額と残りの金額がわからないんだから交換してもしなくても同じ。
得するために交換するべきかと聞かれてもわからない。だから、
point
「わからない」
が「2つの封筒問題」の正解
「交換しない」とか「交換する」とかは気分の問題だったりする。
ところが、頭のいい人が確率や数学の理論を持ち出すことで、単純な問題がかえってややこしくなっちゃうパターンが多い。
こんな具合に・・・。
待て待て、「わからない」と結論を出すのはまだ早い。この問題は仮想的な条件を想定して考える解法で簡単に解決できる。封筒を交換した時の期待値を計算すれば、おのずと答が導き出されるのだ。
仮に、受け取った封筒に1万円が入っていたと仮定しよう。すると、残りの封筒には、5千円、あるいは2万円が入っていることになり、交換後の金額は5千円か2万円の2通りしかあり得ないことになる。
では、このときの期待値を計算してみよう。
5千円×1/2+2万円×1/2=12500円
交換前の1万円が、交換することによって、12500円に増えることが期待できる。もちろん、これは計算上の金額であり、たった1回の試行の場合であれば、損することもあり得る。だが、複数回繰り返すうちに、次第に期待値の金額に近づく。
この計算に従えば、中の金額がいくらであろうと「必ず交換した方が得になる」のは明らか。
なるほど、期待値を計算してスマートに問題解決ってわけだネ。でも、仮想的な金額なら封筒開けて見なくても同じだよ。2人の人物に、それぞれ別の封筒を選ばせたら、2人とも交換したいって言い出して、交換したらまた交換しようって言い出して、またまた・・・・、なんてことにならない?
それを指摘した問題が「2つの封筒のパラドクス」。
仮想的な期待値の式を出したことでパラドクスが起きているので、具体的な金額に関係ない問題に書き換えてみたヨ。
2つの封筒のパラドクス(基本形 + 解法提示)
中が見えない2つの封筒にお金が入ってる。金額の割合は1対2。
中が見えない状態で、選んだ封筒の中のお金をもらうことができる。
封筒を選んた後で、残った封筒と交換するか聞かれる。
解法提示
1、選んだ封筒の金額をA円と仮定して、残りの封筒には、0.5A円か2A円が入っていると予想した。
2、交換した時の期待値は
0.5A円×1/2+2A円×1/2=1.25A円
となり、交換をした方が得をする。
3、仮に残りの封筒を選択していた場合も、同じ式になり、交換をした方が得をする。結果、どちらの封筒を選択しても封筒を交換した方が得するというパラドクスが発生してしまった。
問 以上の考察で、パラドクスの根本的な原因はなにか?
もう少し頭良くなると、このパラドクスも解決してしまう。
こんなトリックに惑わされるようじゃまだまだじゃな。どんなものでも期待値が計算できるという思い込みで計算したところがパラドクスの原因じゃ。
そもそもじゃ、「0.5A円とA円」、「A円と2A円」の組合わせが2種類しか考えられないからと言って、それぞれの組が都合よく均等に1/2の確率で出現すると決めていいわけではないのじゃ。どのような金額の組を用意したかについては、特に設定がされておらん。つまり、出題者の懐具合で確率なんぞいくらでも変わってしまうということじゃ。
たとえば、最初に選んだ封筒に1万円が入っていたとしよう。選択しなかった封筒に半額の5千円が入っている予想はともかく、出題者がはじめから倍額の2万円を用意するつもりがない場合、2万円を含めた組合せに関しては出現率0となってしまう。当然、期待値は、0である。
そのような点を考慮して期待値の計算式の出現率に使っている「1/2」は未知数としておく必要がある。
このように、出現率が不明である限り期待値の計算ができずに、交換の損得なども不明のままじゃ。「交換して得するかわからない」が正解じゃ。
ただし、それぞれの組合せの出現率が1/2であれば、前出の期待値、1.25A円を参考にして交換した方が得であると判断可能じゃ。
「2つの封筒問題」は、特に難しい問題と感じなくて、期待値を計算すれば簡単に解決すると思って進めると、必ずパラドクスが発生する。それぞれの組合せの出現率が1/2ではマズイと気付くと、未知数を導入してパラドクスが発生しないような式を考えて解決。
わかるはずのない出現率を勝手に「1/2」に決めて計算したのがパラドクスの原因。未知数を導入すれば問題は解決する。
なんて、自信たっぷりの解説してる人もいて、この意見にほとんどが「異議なーっし」の様子。
それでも中には「なにか引っかかるなー」って思ってる人がケッコウいて、繰り返し議論になるみたい。数式でいくら説明されても、人間の感覚ではナットクしきれないことって多いよネ。しかもその感覚の方が正しかったりするから面白いんダ。
そう、その感覚、動物的にも正しいヨ
point
「2つの封筒のパラドクス」は、
解説に根本的な見落としがある
ために混乱している。
そもそも・・・
2つの封筒問題(基本形)の段階で、交換する期待値は、交換の前後で変わらない。「わからない」と答えていればパラドクスはないよネ。
ところが・・・
2つの封筒のパラドクス(基本形 + 解法提示)の解法に従って問題を解こうとするとパラドクスが発生してしまう。
結局・・・
その対策として、出現率を「1/2」でなく未知数扱いにしたり、設定をいろいろ変えて確率を検証したり・・・。
「2つの封筒問題」の後で提示された解法でパラドクスが発生してるんだから、まずは、この解法に着目しなきゃならないネ。
さあ、根本的な解決をするために、先を続けよう。
「2つの封筒問題」の盲点を確認しておこう
一般的に、手ごわいパラドクスほど、ちょっとした勘違いから発生していて、原因とは関係ないことばかり話題になるような仕組みになってる。まず、「2つの封筒問題」の基本設定をよくみて、思い込みや勘違いがないかチェックしておこう。
まさかと思っても「期待値計算」を見直そう
手持ちの金額を知ってしまたら、とにかく早く「期待値」を計算して損得を比較してみたくなるネ。この「期待値」は、簡単に言うとあるイベントで考えられる結果とその効果を予測したもの。
たとえば、サイコロを1回振るイベントで、それぞれの目が出る確率は1/6づつ。出た目だけ1万円札をもらえるなんてオイシイ話なら、起こりうるすべてのパターンの結果をありったけ並べて、とりあえず合計しちゃう。それをありったけ並べたパターンの数で割ると1回あたりの平均値、つまり「期待値」が出せるネ。
1つのイベントでありったけ並べたパターンの合計÷パターンの数
計算は、
あるいは、1パターンごとに期待値を足すやり方だと、
(1×1/6+2×1/6+3×1/6+4×1/6+5×1/6+6×1/6)万円
これらの計算式に使われている「+」に着目すると、サイコロの出た目のパターンを並べて、それらを合計するために使われている。なんで足してるのかって言うと、もともと、全体で1になるように分割された確率を1に戻してやろうってワケ。
point
「+」で確率を合計出来るのは、
同一のイベントだから
サイコロを1回振るのは間違いなく1つのイベント。そして、1の目が出るのも6の目が出るのも同一のイベント内で起こりうる複数のパターンとして考えている。この条件があるからこそ、「+」はこれらのパターンを合計出来ている。
あまりにも基本的すぎて説明の意味がわからん。
そうだよネ。「+」を同一のイベントかどうか気にしないで使っちゃってる人は、チンプンカンプンかも。で、ここからが重要なとこだヨ。もし、「+」の使用条件を逆手にとって利用したらどうなると思う?
たとえば、同一でないイベント、5千円と1万円の封筒の組合せで起こりうる交換パターンと、1万円と2万円の封筒の組合せで起こりうる交換パターンを寄せ集めて安易に「+」で合計したら・・・
point
「+」が異なるイベントを合成して、
架空のイベントを創作してしまう。
つまり、異なるイベント間で「+」を使うことで、新しく合成された架空のイベントに書き変わってしまう。式の計算は可能でも、それは、直前まで解決しようとしていた問題とは根本的に別の問題。
「+」の意外な副作用に気付かないまま、「+」を異なるイベント間で使ってしまった当然の結果が「2つの封筒のパラドクス」だヨ。この点に着目すれば、「2つの封筒問題」の誤った解答がすぐにわかるネ。
閉じた交換イベントは内部で解決すべし
「2つの封筒問題」の確率を考えるときに注意しなければならないのは、「2つの封筒問題」は、外から新たな封筒を足すことも引くこともなく、今ある2つを交換するだけの閉ざされた交換イベントだということ。
となると、
point
交換イベントでは、期待値=平均値になる。
たとえば、AかBを選択する選択イベントでは、Aを選択した場合と、Bを選択した場合の2パターンがあり得る。それぞれ外見が同じ封筒なら、選択の確率、それぞれ1/2であるこというまでもないよネ。
また、AとBを交換する交換イベントでは、AをBに換えると同時に、必ずBをAに換えることになるため、この2つのイベントは全く同じ確率で発生する。というより、1つのイベントを違う立場からながめた表現の違いにすぎないので、これも確率1/2になる。
さらに、AをBに交換するかしないかという判断では、「交換する」と「交換しない」は1つのイベントの別パターンでしかないから、必ず組になって確率1を構成する。
「2つの封筒問題」が閉じた交換イベントである以上、手持ちの金額がA円だったと判明したところで、組になる封筒は、0.5A円か2A円のどちらか一方ということしかわからないので平均値は求められない。
0.5A円と組になって確率1を構成できるのはA円しかありえないし、2A円と組になって確率1を構成できるのもA円しかない。しかも確率は1/2しかあり得ないとなると、低額]円を基準にして1.5]円という相対的な期待値がわかるだけ。
結局、封筒が2つしかない交換イベントは、内部のことは内部で処理して循環するから情報が出入りしない。1つの封筒の金額が不明なら、交換して得するか判断するのはムリだという、ごくフツーの考え方が正解でよさそうだネ。
仮想のビデオ撮影で確率1の組合せを判断する
「2つの封筒のパラドクス」は、期待値を求める議論が盛んなわりに、基本的な確率の組合せの話はほとんど出てこない。適当なパターンを組合せて妄想イベントを作っているのが現状。確率の求め方が間違っていれば、その後の計算も議論もみんな無駄になるのにネ。
「交換する」場合だけに着目している「2つの封筒のパラドクス」は、0.5A円と2A円で計算した期待値から損得を判断している。
この式には、確率を合計すると1になるように調整する「α」の存在が認められるように、「0.5A円」と「2A円」の金額が現れる一つのイベントを想定しているのは間違いなさそうだネ。そして、それが「2つの封筒問題」のイベントと一致しないことも疑う余地はない。
このようにイベントで想定されるパターンの組合せが正確でないと、せっかくの考察があさっての方へ行ったきり戻ってこれなくなる。そんなことがないように確率の組合せを簡単に確かめる方法があるんダ。
たとえば、「2つの封筒問題」で用意された2つの封筒にお金を入れて1つの封筒を選択するまでをビデオで撮影する。この後、手持ちの封筒のA円を確認して、期待値を求めようという話になったときにビデオを巻き戻して再生してみる。もちろんこのビデオ撮影は想像上の話。
所詮仮想しただけのビデオ撮影で何がわかるというのだ。
わかるんだな、それが。もちろん、仮想の撮影で0.5A円か2A円のどちらを封筒に入れたかわかるわけない。わかるのは、
point
0.5A円か2A円のどちらかが確実に、
問題とはまったく関係ない金額
だということ。
封筒が2つの段階で、「A円」と組になるのは「0.5A円」か「2A円」のどちらかとわかった。「A円」と「0.5A円」の組合せか、「A円」と「2A円」の組合せでしかない。
いくらビデオを巻き戻しても、「0.5A円」と「2A円」が同時出てくることはない。出てこない金額を使って期待値を計算するという発想が実は奇妙だと気付くきっかけになると思うけどナ。
仮想のビデオ撮影をするのは、どの時点の確率を求めるべきかをハッキリ認識して、時系列が逆転しないようにすることと、無関係な要素が入り込まないようにするため。正解と関係ない誤りを排除する効果があるんダ。
2つの封筒をどのように準備したかが重要なのである。
と感じたら、またビデオを再生してみる。
もちろん、「2つの封筒問題」の封筒を準備するところは映ってやしない。設問に無いからネ。2つの封筒に限定された状態から問題が始まっている「2つの封筒問題」の初期設定は、「この問題では金額を特定する手掛かりはない」と条件設定されていると解釈するのがフツーに数学的だと思うヨ。
初期設定を無視して事前準備するんだから、その後の確率や期待値に影響が出ることは容易に予想できるはず。だったら、はじめから別問題として扱うのが正しいんじゃない?
撮影されていない準備段階の話題になったら、一旦、録画を消去して、はじめから撮影しなおすことにしよう。
point
設問より過去に戻る設定変更があるなら、
さっきまでのデータは消してしまおう。
事前準備から「2つの封筒問題」を証明している数学者の論文、冒頭で、
まず、
を基本条件とする・・・
なんてやってたりしない?
わざわざ「2つの封筒問題」の条件わかってませんって宣言してはじめてるようなもんだから、もう勝手にやってって感じ。
「2つの封筒問題」の基本は等比数列?
手持ちの封筒の金額がわからない状態でも、金額の比率が1:2だとわかっていれば、1:2の等比数列の中から連続する2つの封筒を取り出して「2つの封筒問題」の出題に使われたとみんな予想するよねネ、きっと。
出題者が問題に使う封筒を意図的に選択しようが、まったくの無作為に選択しようが、この等比数列のうち2つの封筒だけが「2つの封筒問題」に使われていることは間違いないんだから、この等比数列を基本にいろいろ考えれば問題は解決できると予想できるよネ、きっと。
てな感じで、等比数列は「2つの封筒問題」の基本形として大いに利用される。封筒の可能性を考えると等比数列が合理的だし、間違ってるなんて思えない。だから「交換して得か?」と聞かれると等比数列を引っ張り出して確率を考えてみる。
でも、「交換して得か?」と聞いてる時の「2つの封筒問題」は、明らかに封筒が2つの場合の解答を要求しているよネ。3つ以上なら「どれと交換?」て聞くはずだし。
そもそも、「2つの封筒問題」では、はじめから終りまで一貫して封筒は2つしか存在しない。たった2つの封筒の金額比をもって等比数列と呼べるかは別にして、問題を考えるために使った3つ以上の封筒の等比数列なんて、どこにも存在しない。
なら、解決に利用している等比数列はどこから湧いて出てきたのか?
point
等比数列は解答者の頭の中で仮想した残り
つまり、等比数列が問題解決の助けになったとしても、それは考察段階での話。求められている解答が2つの封筒を条件としているなら、
point
解答にこの等比数列を残してはいけない
等比数列で問題を考えるのは理にかなっているし、別に問題ない。ただし、たいていの場合、2つの封筒しかない「2つの封筒問題」に、考察に使った等比数列の封筒をどんどん追加して、余計な解答を出してしまうことが多い。意外かもしれないけど、「わからない」という解答は、等比数列を残さない理想的な解答といえるんだ。
この辺は、ほとんど注目されない解答者の解答プロセスだから実感がないかも。解答者が問題を考えるために頭の中で描いた仮想的な等比数列が「2つの封筒のパラドクス」をより複雑にしているという認識を持って、より注意深く考察する必要があるネ。
みんな「封筒が2種類」を厳守している
多くの問題解決法が、等比数列の中から連続する2つの封筒をサンプルとして取り出す作業を 頭の中の仮想イベントとして必ず実行してるはず。そして、「2つの封筒のパラドクス」で、その取り出し方が具体的に提示されると、そのイベントは細かく分解されて実施される。
解法提示 1-1
選んだ封筒の金額をA円と仮定して、残りの封筒には、0.5A円が入っていると予想した。
手持ちの金額を予想する解法が提示されると、早速、手持ちの半額の封筒と組にしたサンプルを等比数列から取り出してみる。
(この仮想イベント1-1では、封筒は2種類しか残らない。)
解法提示 1-2
選んだ封筒の金額をA円と仮定して、残りの封筒には、2A円が入っていると予想した。
続いて、もう1つの可能性として、手持ちの封筒の倍額の封筒と組になるサンプルを取り出すことになる。
(この仮想イベント1-2でも、残された封筒は2種類を超えることはない。)
ここまで提示された解法に従って何も特別なことをしていないように思えるネ。でも、ここで冷静になって考えなければならないことは、1回目の予想イベントが終わった後で、倍額の場合を想定した2回目のイベントを実施したり、その順番が逆の場合でも、2つのイベントを同時に実行していないところだヨ。
「2つの封筒のパラドクス」の解法提示では、1つのイベントが完全に終わってから、仕切り直しで別のイベントを実施することで、あくまで「2つの封筒」の条件を崩さない解法提示になってる。
もし、基準の封筒を中心にして封筒を3つ選択してしまうと、基準以外のもう1つの封筒は、基準の金額の半額であり、かつ倍額でないと「2つの封筒」ではなくなってしまう。でも、そんな封筒なんてあるわけないんだから、解法提示では、封筒が2つ以上に増えないように、それぞれのイベントを完全に分けてある。
つまり、解法提示に従ってイベントを仮想している時点で、
point
解答者は「封筒が2種類しかない」ことを利用している。
ということで、どんなにもっともらしい解答でも、封筒が同時に3種類以上出てくる解答はアリエナイ。もう自分で2種類しかない場合の特徴を利用しちゃったんだから仕方ないネ。
金額を仮想して、みんながやっている余計なこと
手持ちの封筒に入っている金額を知らなかった「2つの封筒問題」の時点では、封筒は2つで、得するか損するかもわからない。なぜなら、選んだ封筒と選ばなかった封筒の相対関係は確定できないから。
どっちの金額が高いかわからないんだからあたりまえだネ。
ところが「2つの封筒のパラドクス」では、具体的な金額に限らず、仮想的な金額でも、交換した時の期待値が計算可能になると説明されている。
仮想的な金額を想定すれば期待値が計算可能になる。
封筒の中身を見ることで期待値が判明するのは当然じゃ。
ほとんどの人がもっと根本的な、スカットするようなトリックにダマされていることを期待していたはずなのに、いろんな解説で「事前確率」や「条件付き確率」なんて専門的な説明をよく見かける。専門用語並べた解決が必要だったなんて、逆に「2つの封筒問題」の魅力が半減しちやった感じ。
クイズ感覚でかじっただけのシロウトはチンプンカンプンながら、それでもすっきりしない。どんなに数式を並べられても、本能的な、ウーッてうなりたくなる感じが残るのはなんでだろうネ。
選んだ金額と選ばなかった金額の相対関係を問われている「2つの封筒問題」で、一方の金額を仮想してみただけで、相対関係が解明できちゃうのはナゼ?
金額の仮想以外に、なんか余計なことしてるからじゃない?
手持ちの金額を仮定したからって、2つの封筒の相対関係に変化が起きるわけじゃないし、新しい情報の手掛かりになるわけでもない。これだけで、損得を判断する相対関係が劇的に解明されるのはどう考えてもオカシイ。
そこで、金額を仮想したと同時に何が起きているのか解析してみる。
仮想イベント1-1と仮想イベント1-2は同時に成立しないイベントだから、同じ解答者がそれぞれを単独で仮想したとする。
このとき解答者は、同額のA円の封筒を持っているという共通の設定を持ったイベント2つを想定しているが、これらのイベントに直接の関連性はない。
この状況をそのまま解答に利用したとしても、それぞれが「わからない」と答えていれば何も問題は起きないはず。
オッ。2つの例でA円の封筒を持っている立場は、完全に一致してるではないか。
だからナニ? やめてネ。余計なこと考えるの。
良い点に気付いた。であれば、手持ちの封筒を中心に、0.5A円、2A円の等比数列で期待値を求めることが可能じゃ。
だからやめてって言ってるんだけど。余計なことするの。
アッ。やっちゃった。
手持ちの金額から仮想するだけじゃなかったのかナァ・・・。
完全に独立していたイベントを1つに統合して、手持ちの封筒はもう一方より高額、手持ちの封筒はもう一方より低額という2つの異なる相対関係までも統合してしまった。
その結果、低額、中額、高額、3種類の金額が同時に混在する封筒のサンプルが出来上がった。と同時に、手持ちの金額を等比数列の中間金額に固定して、誰も頼んでいない設定に変更してしまった。
これこそが相対関係の不明な「2つの封筒問題」に、いつの間にか相対関係が確定される原因なんダ。
point
解答者は金額を仮定(封筒を開封)するイベントで、
3種類の封筒と相対関係を創作している。
おそらく、「2つの封筒問題」は長年勘違いされてきている。そして今でも。解答者がやってるこの統合イベントに関しては、確率論を持ち出す前に考察を済ませるべきところ。2次的な問題でしかない確率論でパラドクスを解決しようとすると、解決どころかどんどん複雑化してしまうあたり、ヤッパリ「2つの封筒問題」は、期待以上に面白いネ。
この統合イベントの影響がどれだけ大きいか、この後も解析を続けることにしよう。
予想外に長くなったんで、この続きは、