人工衛星の原子時計にはあらかじめ相対論的補正がされていて、カーナビは今も正確に機能しているらしい。古典物理学と実験の間を埋めるための式を取り入れて作ったのが相対論だから、ある程度の効果があっても不思議じゃないよ。ただ、補正をしてもしなくてもカーナビに大きな影響はないはず。
カーナビは1日につき11kmもずれて、とても使い物にならない」
技術者じゃないと確かめようがない話をまことしやかに書いてある本がずいぶんと増えてるね。普及してるカーナビに便乗して、相対論のプレゼンテーションするなんてうまいこと考えたね。
よく考えると、はじめから相対論にとって都合のいい結果が出るような仕組みになってる。反証するデータを得るには、カーナビに突発的なトラブルが発生しないと得られない。一方、相対論の立証は「何も起こらない」のが条件になってる。
相対論を否定する条件だけハードルを高く設定して、証明の参考にならないありふれた現象でも相対論を立証できたように錯覚させる論法だよ。相対論の解説では当たり前のように使う手法。光速度不変の原理を検証したマイケルソン・モーレーの実験でも「何も起こらない」場合が相対論の証明になってる。
そんな論法を可能にしてるのは、最終的に不要になる反証の条件の方だよ。これをアリエナイ数値に設定したりして、相対的に「何も起こらない」状態でも相対論の立証に使えるようになるんだ。
今回の場合は、「約11kmずれる」というのがそれ。より多く見積もった方が相対論的効果を強調できるところがミソ。予想したのが相対論の学者ということもあって、やっつけ仕事で計算を大幅にミズマシしてる可能性がヒジョウに高いよ。確認してから次のステップに進むようにしたいね。
鵜呑みにする前にチェックしておきたいこと・・・
- 「何も起こらない」ことが立証になるか
証明の方法として正しくない。再現性に乏しいものを反証の条件に設定することで、結果を意図的に操作できてしまう。「何も起こらない」という、すでにある事実を立証ぼ根拠としてあげている場合、多くは検証自体が成立していないので要注意。 - 約11kmずれる計算値は正しいか? → カーナビの相対論的効果はウソ
原子時計の時刻がずれた分だけ電波は進んでしまうという主張で安易な計算がされているが、カーナビのシステムは電波の進んだ距離から直接距離を測るものではない。時刻のずれは人工衛星の位置を誤って認識させるもので、相対論的補正の影響は人工衛星の速度に依存している。
- 補正しているという事実は証拠になるか
原子時計に相対論的補正を採用した事実は、理論の真偽を決定づけるものではない。同様の修正は古典物理学でも可能。 - 原子時計の補正の意味
原子時計が進んでしまうためあらかじめ遅らせて打ち上げる必要があるような記述は、実際は地上のパルスと比較して遠隔操作で補正可能だとを考えると、相対論的補正自体が必然性のないものだということになる。 - 相対論的補正をOFFにした事例を誤解していないか
相対論的補正をOFFにした場合、わずかに時刻が遅れただけではカーナビに重大な影響が出たとは言えない。相対論の予想どおりに「計測距離」そのものが大幅にずれ、使い物にならなかったという実験は存在するのか。 - 特殊相対論や一般相対論と矛盾していないか
特殊相対論は一般相対論に包括されるという主張によると、2つの理論の変換係数は最終的に1つになることを意味している。しかし、それぞれを別々に計算して足し合わせたものが相対論的補正として採用されている。それによってカーナビが正確に機能しているとするなら、カーナビによって相対論全体の構成が否定されたことになる。
カーナビ開発の歴史に相対論がどれほど貢献したのか興味あるね。システムが出来上がったころに「相対論がないと使い物にならない」なんて言われたら、開発者はトンビに油揚げをさらわれたような気がするだろうね。科学技術の研究が正当に評価されるためには、オリジナルを尊重するような教育の環境づくりも必要だということかな。